かおりちゃんといくえちゃんは、とてもげんきなふたごのおんなのこです。おそろいのめがねがよくにあいます。 「いってきまーす。」 「いってきまーす。」 ふたりはこえをそろえておかあさんにあいさつすると ようちえんバスにのってようちえんにいきました。 | |
ようちえんにつくとせんせいやおともだちに 「おはようございます。」 「おはようございます。」 と、おおきなこえでごあいさつ。 せんせいもおともだちも 「おはよう、かおりちゃん。」 「おはよう、いくえちゃん。」 と、こたえてくれました。たのしいようちえんのいちにちがはじまります。 | |
きょうはようちえんのせんせいがかみしばいをしてくれました。 「どんなおはなしかなあ。」 かおりちゃんもいくえちゃんもかみしばいがだいすきです。
せんせいは、みんながよくしっている『ぐりとぐら』をよんでくれました。 せんせいがかみしばいをいちまいずつめくるたびにみんなドキドキ、ワクワク。 | |
かおりちゃんといくえちゃんはかみしばいにいちばんちかいところにすわっています。 かおりちゃんといくえちゃんは弱視(じゃくし)なのですが、ここなら、かみしばいがよくみえます。 みんないっしょにドキドキ、ワクワク。
弱視(じゃくし)というのは、ものをみるときぜんぜんみえないわけではないけれど 視力(しりょく)がよわいということなのです。 | |
「ただいま。」 「ただいま。」 ふたりがようちえんからかえってくると、おかあさんがおやつをつくってくれました。 きょうのおやつはなんでしょう。 あら、だいすきなドーナツです。 「わーい、ドーナツ。」 「ドーナツ、だいすき。」 ふたりはモグモグ、パクパク。 | |
いくえちゃんとかおりちゃんにはかみしばいやおやつのほかにもだいすきなものが たくさんあります。 ブランコやすべりだいがすき。かくれんぼに、おにごっこ、ままごとがすき。 おともだちのゆうすけくんがすき。まさくんもすき。おとうさんがすき。 おとうさんがしてくれる、かたぐるまやたかいたかいがすき。 | |
それからいちばんすきなのは、ねるまえに、ベッドのなかでおかあさんにほんを よんでもらうこと。 でもね、かおりちゃんといくえちゃんはもうすぐいちねんせいになるのです。 そうしたら、じぶんできょうかしょをよまなくてはなりません。 | |
「そうだわ。弱視(じゃくし)でもわかるように、拡大写本の会(かくだいしゃほんのかい)にたのみましょう。 かくだいしゃほんのかいではかおりちゃんといくえちゃんがみやすいように、字(じ)をおおきくしたきょうかしょをつくりました。ふたりのためのとくべつのきょうかしょです。 | |
かおりちゃんもいくえちゃんもとってもきにいったようです。 「わーい、きょうかしょだ」 「わーい、もうすぐいちねんせい」とおおよろこびです。 これなら、ふたりがいちねんせいになってからたのしくべんきょうできるでしょう。 おかあさんもすっかりあんしんしてむねをなでおろしました。 | |
拡大写本ができあがるまで弱視児(者)の視力にあわせて、文字の大きさや用紙の色を決めます。 (文字の大きさは、書体は、用紙の色は、など相談しながら決めます。) 大きな文字の原紙を手書きで作ります。 (拡大写本の会の会員が作ります。手書きのほかにパソコンでもできます。) | |
書きあがったら、一枚ずつコピーをします。 ページをそろえて糊付けして、プレスします。 表紙をつけて、本ができあがります。 世界でひとつのあなたのための本ができあがります。 |