はるさん日記:2002.01

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夕食の時間に合わせて、午後5時半に病院へ行き、経管栄養のための実習をする。一緒に来た夫と次女が見張っている(?)ので、やや緊張ぎみ。
昨日までは、昼食時間だったので、白湯の注入だったけど、今日はいよいよ栄養剤の練習になる。指導役の看護婦さんが見守る中、はりきって始めたのだが、はるさんのお腹の空気音が聞き取れず苦戦。はるさんが呼吸するときに出すウーウーという声と共鳴してしまって聞き分けられず看護婦さんに助けてもらった。もう少し勢いよく空気をおくれば良かったんだね。
その後は順調に進み、始めて手にしたラコール400ccの重さを実感しながら、はるさんのお食事が出来、今日の実習は、概ねOKとなった。
はるさんは、真剣な顔つきで、一部始終を見上げていた。
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今日からは昼食時にも栄養剤が出ることになったので、昼食時間に実習することになった。
夫と病室に行くと、はるさん目を開けている。顔をふいてサッパリした後、「具合はどう?」と聞いたら、「わ…る…い…」と答えた。かわいそうに、苦しいのかな。
はるさんが心配そうにじっと見るなかで、経管栄養の実習をした。看護婦さんから「手つきが良くなってもう大丈夫ですね。」と言われ、ほっとする。
何も手に着かないお正月だが、帰宅後、夫と初詣に行った。雪混じりの冷たい雨が降っていた。
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昼過ぎ、はるさんの病室へ行く。看護婦さんが用意してくれた一式を使って今日も実習に励む。吸引機のスイッチをいれたり、ベッドを起こしたり、一緒に行った夫と次女が協力してくれる。
痰の吸引、経管の挿入確認、薬・白湯・栄養剤の注入など、外野のほうが詳しくなってしまった。
今日も、はるさんはなにも言わないけれど、ぱっちり目を開けて心配そうに、見上げている。
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昼食時間に行き、経管栄養の実習。かなり上手になったので、(自分でいうのもなんだけど…)看護婦さんからも褒めていただく。自信がつきました、ありがとう!
相変わらず痰がからんでいるけれど、今日のはるさんは、目を閉じてじっとしていた。
明日の退院に備えて、婦長さんからいろいろ教えていただいた。帰りがけに、訪問看護ステーションに寄り、退院後の訪問看護について相談した。
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社協から借りた車いす用自動車ライオンズ号を夫が運転し、はるさんを迎えに行った。車いすに座れるかどうか心配だったけど、首もしっかりしていて、座位も大丈夫。
車いすのはるさんと、吸引機や、着替えなどといっしょに栄養剤ラコールが詰まったダンボール箱をいっぱい積んで、とことこ車を走らせ、昼過ぎに無事自宅へ着いた。
一休みした後、実習の成果を発揮すべく、はるさんのお昼ご飯の準備に取りかかる。
ラコールを湯煎して置き、「さあ 、薬の調合…」と思ったら、注射器がなーい。大至急、夫に病院までとりに行ってもらった。やれやれ…。
何とか、薬を注入し終わり、栄養剤にとりかかったところ、今度は接続チューブがない事に気付く。再度、夫に病院まで受け取りに行ってもらう。病院では、看護婦さんが必要なものを取り揃えてくれていたので、すっかり人任せになっていた自分を反省。いくら、退院の引き継ぎで忙しかったとは言え、うっかりしてました。でも、昼間だったので、なんとか間に合い良かった。
さあ、道具がそろったところで、はるさんのお食事開始。ゆっくり慎重に点滴を落とした。 慎重すぎたのか、2時間に納まらず、3時間かかってしまった。
夕食の時間をずらして、調整。でも、夕ご飯のときには手順良く、ばっちり上手くいきました。
はるさんは、 相変わらず痰の絡みがあり、ゼイゼイ言っている。おかげで吸引することに慣れてきたけど、部屋の湿度をあげて置こうね。
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朝・昼・夜と順調に経管栄養を行う。途中の体位交換やおむつ替えもスムーズ。それに大量の排泄もあって、まあまあ順調。吸引しても痰が続くはるさんだが、少し息も軽くなって来た。
夕食時の経管栄養は夫が担当。病院の実習を一緒に見ていたので、難なくこなした。はるさんのお腹の空気音の確認で「ボコッ」という小さな音もはじめて聞いてもらった。夕食が終わったあと、痰の吸引をしたり、体位交換をしたりして、夜半過ぎまではるさんの部屋を行ったり来たりして過ごす。

昨日と同じように過ごせるはずだったのに、夜12時過ぎ、はるさんの呼吸が止まった。
救急車が着くまでの時間がとても長く感じられた。

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ICUのベッドの上で、はるさんの心臓は動きをゆっくり止めていった。午後2時38分。87歳11ヶ月。


写真:はるさん85歳の頃

もっともっといっしょに居たかったけど、とうとうお別れの時が来てしまいました。まだ信じたくない思いでいっぱいです。でも、もう居なくなってしまった…。

たくさんの事を教えてもらいました。
今ははるさんにお礼をいうことしか出来ません。ほんとうにありがとうございました。

今まで介護を続けてこられたのは、はるさんの息子である二人、批判がましいことをいっさい言わず、すべてをまかせてくれた義兄と、私の望むやり方を認め応援してくれ、一緒に歩んでくれた夫のおかげだと思います。

そして、介護の日々を支えてくれた大勢のみなさん、ありがとうございました。



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