はるさんの一日

痴呆が重度になった頃のこと。
「おばあちゃん、ご飯食べてね」とすすめると、自分に言われたとは分からず、隣のだれも座っていない椅子に向かって
「そこのおばあさん、早く召し上がれ」と 伝言ゲームのように言いました。
「お義母さん」「おばあさん」と呼びかけても、私のことを忘れているので、通じなかったんですね。
でも、「はるさん!」と名前で呼べば、ちゃんと振り向いてくれる。
それ以来、私は「はるさん」と名前で呼びかけています。
はるさんの一日

朝一番にすることは、とにかく体位交換(体の向きを変える)。そのあとに自分の身支度を整え、はるさんのオムツ交換。朝食準備。お粥とペースト状にした煮物など用意する。はるさんを起こし、ベッドから車いすに移乗。リビングに移動して朝食介助。
自分では食べられないので、「あーん」とひとくちずつ口に入れてあげる。食べ始めは勢いがあるので、薬もいっしょにスプーンに乗せる。食事の後半には、あまり口をあけなくなってしまうので、食べ始めがチャンス!薬袋には「食後お飲み下さい」と書いてあるけどそれは無視せざるをえない。30分から1時間程かけて茶碗一杯分のお粥と、同量程度のおかずを食べさせる。
食後は食べ物が落ち着くまで、車いすのまま、しばらく座っていてもらう。30分から1時間後ベッドに戻り、先程とは左右逆向きに寝かせる。途中でオムツ替えをし、2時間位たったところで再度、体位交換。昼ご飯準備。車いすに移乗させ、昼の食事介助、食後しばらくは起こしておいて、その後ベッドにつれて行く。
オムツ換え、体位交換を繰り返し、夕方になったら夕食準備。家族と一緒に夕食。一食分を食べ終わる頃には、疲れてしまうのか車いすに座ったまま居眠りしてしまう。はるさんの食事介助が終わってから私の食事時間になるので、時間差お食事タイムだね。
私が食事を終え、はるさんのお腹の中の食べ物が落ち着いたころを見計らって、はるさんをベッドに移す。深夜のオムツ替えの時に大きめの尿パッドにして、夜に備える。翌朝まで、「おやすみなさい。」

土・日・火・木曜日はデイケアに行くので、朝食後、車いすに座ったままでスタンバイ。9時から10時の間にお迎えの車がくる。夕方までレクリエーションやリハビリ、昼食などのサービスをうけ、(日・木には入浴サービスあり) 夕方帰ってくる。

はるさんの一日は、食べて・寝て・出す、が三大行事。これって生きていく上での基本かも…



写真・車いす

左がはるさんご愛用の車いすです。これに乗ってデイケアに出掛けます。

右のはかりは、まさこさんの愛用品。使用後のおむつや尿パットを乗せて、(使用後-使用前=尿量)をはかります。一日合計1000CCくらい出ていれば安心です。

写真・はかり

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